おひとりさまに生命保険は必要か?
~保険料vs.保険金のバランスと必要性を検討~
何となく営業担当者の言われるままに生命保険に入っていませんか?
そもそも生命保険は何のためにあるのでしょうか?
人は生きていくなかでさまざまな健康上のリスクにさらされています。
病気やケガ、死亡といったリスクです。
風邪や擦り傷程度ならさほど問題はありません。
しかし、ガンや骨折などなら働けなくなって収入が減ったり、治療費等で多額の出費を要したりします。
1 リスクへの準備対策
そうしたリスクはいつ起こるか分かりません。対策資金を準備しておくと安心です。方法は二つあります。
①リスクの保有
貯蓄で不意の出費に備えておくことです。
②リスクの移転
たとえば急な入院に備えて医療保険に入っておくことです。リスクを保険会社へ移転するのです。
2 保険は必要か不要か
おひとりさまの場合は、扶養家族がいなければ、家族持ちの方に比べてそれほど多くの資金を必要としないでしょう。
保険料を支払った分と受け取った保険金を比較すると、損をしているケースが多いのではないでしょうか。
それなら保険料分を貯蓄や投資に回していざというときに備えたほうが賢明と考えられます。
なお、貯蓄が不足するようであれば、できるだけ早めに、IDECOやNISAなどにより、無理なく少しずつでも資産を増やしていく必要があるでしょう。
貯蓄に余裕があるのであれば、おひとりさまには生命保険は基本的に不要といえます。
ただし、ケースによっては必要な場合もあります。
3 リスクの種類から保険の必要性を検討する
①死亡保険
母子家庭や父子家庭などで扶養家族がいるなら必要性は高くなります。
扶養家族がいないなら、葬儀費用など必要最小限を貯蓄で賄えない場合は必要になるでしょう。
②就業不能保険、所得補償保険
勤務者なら健康保険の傷病手当金があり、退職後は厚生年金があるので、公的支援のみで間に合う可能性が高いです。
ただし、もし不足するなら加入を検討する余地はあります。
一方、自営業なら国民健康保険には傷病手当金がありませんし、老後は国民年金しかありません。
貯蓄が不足して不安であれば必要性が高まります。
③医療保険、ガン保険
健康保険の高額療養費制度により一定の金額を超えた医療費は払い戻されるので、必要性は低いでしょう。
ただし、病気やケガの程度や種類によっては、差額ベッド代、パジャマなどのレンタル代など予想以上にかかることがあります。
やはり貯蓄が十分でなくて不安であれば必要性が高まります。
また、女性は若くても女性特有の病気のリスクが低くないので検討の余地はあるでしょう。
とくに、ガンの場合は、治療が長期にわたる可能性や再発リスクがあります。
通院費や交通費、先進医療による治療などを考慮すると、診断一時金などまとまったお金をもらえるメリットがある場合があります。
必要性は個別の検討によるでしょう。
4 請求代理人をあらかじめ指定しておく
なお、生命保険に加入した場合、おひとりさまなら、指定代理請求制度(特約)を検討しましょう。
意識不明状態や認知症になるなど特別な事情で請求できない被保険者に代わり、あらかじめ代理で請求する人を指定しておく制度です。
直系血族、3親等内の同居親族など、保険会社で範囲は異なるので確認しておく必要があります。
保険会社が定めた範囲内に代理請求人になれる人がいない場合は、成年後見制度の利用を検討できます。
また、地域には社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業があります。
高齢や障害などにより、日常的な金銭管理や福祉サービスの利用手続きなどを支援するものです。
5 リスクを防止する努力が大事
健康上のリスクはなるべく生じさせないことが重要です。
タバコや過度の飲酒を控えるなどの「リスクの回避」や、定期的な健康診断受診や運動などの「リスクの予防」をすることです。
急な出費の準備も大事ですが、まずは病気にならない、ケガをしない努力が必要なのです。