起業融資がラクに受けられる創業計画のポイント10選
~金融機関は何を見ているのか~
起業に際しては先立つもの=資金が必要になります。
調達方法は、自己資金、借入金、補助金・助成金、出資を受けるとさまざまです。
金融機関から借入したいと思っても、実績もないのに貸してもらえるのだろうかと不安に感じる方もおられるでしょう。
そこで、金融機関にどこを見られるのかを知っておけば安心です。
日本政策金融公庫国民生活事業の創業計画書をもとに解説していきましょう。
なお、日本政策金融公庫のホームページには記入例もあるので参考になります。
①起業の動機
経験を生かしたい、立地のよい店舗が見つかった、見込み顧客を確保できているなどです。
成業見通しがあるから起業したいという動機であることが重要です。
行き当たりばったりとか、何でもよいから収入を得たいので起業したいといった動機では印象が悪くなります。
計画性がある起業であることは大前提なのです。
②経営者の略歴等
斯業経験があるなど、成業見込みの裏付けになる情報であることが重要です。
まったく未経験の分野では厳しい見方をされます。
③取扱商品・サービス
自分が顧客に提供できる価値、同業他社と比べた優位性、販路開拓方法、外部環境分析などです。
成業に結び付く商品・サービスであると認識できることが重要です。
④取引先・取引関係等
ターゲットとする顧客層が明確で実現可能性が高い、仕入先や外注先を確保しているなどです。
ここでも成業可能性が高いと理解できることが重要です。
⑤借入状況
現在抱えている住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの借入金の状況を包み隠さず伝えましょう。
金融機関は個人信用情報を参照しているので記入のない借入金まで把握しているからです。
事業に関係ないものであっても、起業後の返済負担が重くなるようだと成業見込みが厳しいと判断される方向に行きます。
⑥必要な資金と調達方法
設備投資が必要十分で無理のないものであること、当面の運転資金をきちんと考えていることなどが重要です。
資金調達面では、自己資金割合が高いほうが有利になるケースが多いです。
親族借入など当面返済不要であればそれが分かるように示します。
⑦事業の見通し
売上から原価と経費を差引き、利益が出ることが重要です。
はじめはトントンでも軌道化後に採算化できるなら問題ありません。
それぞれの根拠はできるだけわかりやすく実現可能性が高いことを示すことが重要です。必要なら別紙を添付します。
自由記述欄には、とくにアピールしたいポイントを簡潔に追記するとよいでしょう。
ほかにも、有利にはたらきそうな資料があれば計画書に添付するか、審査担当者との面談時に追加で提出することをおすすめします。
ただし、審査担当者が必要としてくれる資料かどうかの見極めが必要で、余計なものを提出しては無駄に終わるだけです。
計画書に書いたことはすべて自分で説明できるものになっていなければ意味はありません。
審査担当者の質問にしどろもどろになったりすると悪い印象を与えてしまいます。
第三者に書いてもらうのは論外で、ばれる確率が高いのでやめた方が無難です。
とはいえ、自分一人で考えるのでは不安だという方もおられるでしょう。
事前に、商工会議所・商工会の経営指導員や中小企業診断士などの専門家に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。
「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」です。
金融機関の審査担当者も人間です。
起業したいという熱意が伝わり、成業の実現可能性が高いと理解してもらえることが重要です。
金融機関の見方も理解し、起業に成功する方が増えることを期待しています。