3分でわかる 親の介護が必要になったとき
~介護サービスを上手に利用して介護の無理を回避~
高齢の親が自力で生活するのが難しくなってきたとき、家族として手助けが必要になります。
私の場合は、勤務先が隣県だったので毎週末に帰省し、買い物や掃除、通院時の同行などをしていました。
常に付き添っているわけにはいかないので、介護保険のサービスを利用しました。
介護サービスを受けるために必要な手続きなどについて解説します。
1 介護にかかる相談
手続きの前に、市区町村の地域包括支援センターに相談することができます。
介護保険サービスについてわからないことや手続きの仕方などを教えてくれます。
介護の負担やストレスなどの相談にも応じられます。
なお、相談は無料です。
2 介護サービスを受けるための手続き
①市区町村の介護保険担当窓口へ申請
原則として被保険者である親または家族が、申請書に介護保険被保険者証を添えて申請します。
難しければ、地域包括支援センターや民生委員などに代行を依頼することができます。
②認定調査
市区町村等の調査員が自宅や施設等を訪問して、心身の状態や家庭環境を確認するための認定調査を行います。
また、市区町村が主治医に主治医意見書の作成を依頼します。
主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要になります。
なお、主治医意見書の作成料の負担はありません。
③審査・判定
調査結果と主治医意見書の一部の項目をコンピューターに入力し、全国一律の判定方法で要介護度を判定します(一次判定)。
一次判定の結果と主治医意見書にもとづき、介護認定審査会が要介護度を判定します(二次判定)。
④認定結果の通知
市区町村は、介護認定審査会の判定結果にもとづき要介護認定を行ない、申請者に結果を通知します。
申請から認定の通知までは原則30日以内に行ないます。
認定は要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれています。
⑤ケアプラン作成
介護サービスを受けるためにはケアプランを作成しなければなりません。
要支援の場合は地域包括支援センターに相談します。
要介護の場合はケアマネジャーのいる、市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業者に作成を依頼します。
ケアマネジャーは、自宅等を訪問し、どのサービスをどう利用するかを、本人や家族の希望、心身の状態を考慮して作成します。
ケアマネジャーを探すには、地域包括支援センターに相談して紹介してもらったり、主治医に相談したりとさまざまです。
口コミや知人の紹介もあるようです。
なお、ケアプラン作成費用は無料です。
⑥介護サービス事業者と契約
ケアプランに合った介護サービス事業者と契約し、サービス開始となります。
3 更新手続きが必要
要介護または要支援の認定には有効期限(新規は6カ月、更新後は12カ月)があり、更新手続きが必要です。
その都度の状態に応じて認定区分が変わることがあります。
また、途中で状態が変わった場合は認定区分変更の再申請ができます。
4 自己負担額
介護保険サービスの利用者負担(自己負担)は1割(一定所得以上で2割または3割)となります。
居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。
限度額を超えた分はすべて自己負担となります。
この自己負担額にも限度額が定められており、超過額が高額介護サービス費として支給されます。
支給を受けるには市区町村の介護保険担当窓口に申請します。
なお、福祉用具購入など一部対象外となるものがあるので注意が必要です。
5 家族がサポートする
介護サービスを受ける時期になった親には家族のサポートが大事です。
地域包括支援センターやケアマネジャーとの相談、認定調査員の訪問調査、介護サービス事業者との契約の際は同席が望ましいです。
また、自宅訪問による介護サービスには適宜立ち会って要望を伝えることも有用です。
6 介護は無理をしない
介護は身体面と金銭面で無理のない範囲で行うことをおすすめします。
私は実家から100キロメートル以上離れた勤務地でした。
帰省する毎週末以外の平日に何かあれば近くに住んでいる兄の協力を得ていました。
毎週の交通費の負担はありましたが、介護費用はすべて親の負担でした。
自分の生活費を稼がなければならないので、介護離職は選択肢にありません。
親のサポートができない分を介護サービスで補填した形になります。
親が介護サービスを受けることになる日はほぼ確実にやってきます。
事前に概要を知っておき、いざ始まったときに備えておきましょう。