おひとりさまの起業

~メリット、デメリット、留意点~

かつては、独身だと住宅ローンが組めないとか、独身中高年女性は賃貸住宅も断られるといった時代もありました。
今は、独身者が増えてきたこと、競合や供給過多の背景もあって金融機関や大家が借主をえり好みできる状況にはありません。

独身者で困る場面はあまり見られなくなってきています。

起業する場合も同様です。
金融機関は独身かどうかだけをもって融資するか否かを判断することはありません。

おひとりさまが起業する場合のメリットとデメリットについて考察してみましょう。

【独身であるメリット】

時間とお金の自由がきく

すべて自分の判断で、時間とお金を仕事に振り向けることができます。
親族の事情で事業に制約を受けることが少ないでしょう。

②身体が束縛されることが少ない

配偶者の親戚づきあいとかで対応しなければならない時間や労力が不要です。
事業に悪影響を及ぼす余計な心労が少なくて済みます。

集中できる

好きなだけ事業に没頭できるので、事業第一主義で行動することができます。
ほかに手を取られることが少ない分、仕事の質を高めたり時間的余裕を作ったりすることができます。

【独身であるデメリット】

身近に支えてくれる人がいないので心理的不安が生じやすくなる

事業がうまくいかないときなどは家族がいれば心理面や金銭面での支援を期待できます。
独身だと一人で悶々として落ち込んでしまう可能性がないとはいえません。

自己管理が必須になる

自由だからといって好き勝手にしていてはいずれ破綻します。
計画的に時間を使うとか、不必要な出費を抑えるといった管理をすべて自分自身で行う手間がかかります。

病気などで働けなくなると生活が厳しくなる可能性が高くなる

自分の代わりに稼いでくれる人がいないので、長期間働けなくなると収入の補填ができません。
たちまち生活に支障が生じてしまう可能性があります。

以上を踏まえて、おひとりさまの起業で留意すべきことがいくつか考えられます。

配偶者や子がいる人と比べない

人生いろいろです。
独身か否かで起業の成否が決まるわけではないので、家族がいればいいのにとか考える必要はありません。
自分のおかれた環境を把握して、自分らしさを発揮して事業を成功させることに集中しましょう。

メンターや相談相手を確保する

先輩経営者や同業者仲間、あるいは専門家を確保し、困ったときに相談にのってもらえる態勢をつくっておくことは重要です。
相談相手は家族である必要はないのです。

自律心をしっかりもつ

自由であるがゆえに自己統制が必要です。
お金や時間だけに限らず、他の人との関係を良好に保ち自分の信用に傷をつけないようにすることも含まれるでしょう。

シニアならいつまで続けるか、後継者を選ぶかどうかなど先のことも考えておく

独身か否かにかかわらず、高齢の経営者が借入をしようとすると、金融機関は事業の継続性を検討することになります。
相続人がいない経営者が、返済の途中で亡くなってしまったら、金融機関は回収が困難になってしまうからです。
何歳ころになったら事業をたたもうとか、後継者を決めて事業を任せようとか決断しなければならなくなるときが訪れます。
準備はきちんとしておきましょう。

今後、おひとりさまが増えていくにしたがって、その自由さをいかして起業する方も増えていくことを期待しています。

そして、おひとりさま経営者たちが集まってお互いに寄り添い支援し合える場があるとなおよいと考えています。