日本政策金融公庫や信用保証協会で対象とならないケース

~公的機関には使命上の制約がある~

日本政策金融公庫も信用保証協会も、どちらも公的な機関だということは事業経営者ならだれもが知っていることでしょう。
では、両者の違いは何か? と聞かれて明確に答えられない人も少なくありません。
簡単に言うと、日本政策金融公庫は、企業に直接融資する金融機関です。
一方、信用保証協会は、直接融資するのではなく、民間金融機関の企業への融資に対して保証をする機関なのです。

ところで、事業資金の融資が受けられないのはどういう場合でしょう。
もっとも多いのは、企業の財務内容や資金繰り、今後の見通しなどに問題があり、正常返済が見込めない場合です。
それは審査をしたうえでの判断となります。

公的機関である日本政策金融公庫と信用保証協会は、審査判断以前に、そもそも融資や保証の対象とならないケースがあります
つまり入口の段階で、申込みができないケースがあるのです。
どのようなケースなのか見ていきましょう。

①企業規模が制限範囲を超えている

日本政策金融公庫、信用保証協会いずれも、中小企業基本法に定義されている中小企業と同一になります。
資本金と従業員数のいずれかが所定の制限範囲内であることが必要です。

業種資本金従業員数
製造業、建設業、運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
(注)一部例外があります。

②非対象業種である

ほとんどの業種が対象になりますが、一部非対象となる業種があります。

日本政策金融公庫は、金融業や一部の風俗関連業などです。
自社の業種に不安がある場合は、公庫や商工会議所・商工会などに問い合わせれば教えてくれるでしょう。

信用保証協会は、農林・漁業、性風俗関連特殊営業、金融業、学校法人、宗教法人、非営利団体(NPO法人を除く)、LLP(有限責任事業組合)などです。

信用保証協会が非対象であっても日本政策金融公庫では対象になるケースがあります。
また、同じ日本政策金融公庫でも、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業で一部異なる取り扱いをしています。

③社会的批判を受けるおそれがある

料金が大衆的でないとか、公序良俗に反するといった懸念がある事業形態や経営内容とみられる場合は非対象となります。

④必要な許認可や届出をクリアしていない

営業に必要な許可や届出が未了の場合は非対象となります。
なお、これから創業する場合の飲食店の営業許可は事後の確認でもよいなど一部例外があります。

⑤使途(融資の使いみち)に問題がある

原則として審査時に申出た事業資金として融資金を使用しなければなりません。

ⅰ) 事業外目的の資金

株式などの投資資金や、専ら自家用に使う車、生活資金などは非対象となります。
住宅兼店舗の一棟の建物については、事業として使用する部分のみが対象となり、住宅部分は非対象となります。
また、事業のために使う不動産であっても、法人が融資を受けたのに経営者個人名義で購入する場合は非対象となります。

ⅱ) 転貸資金

経営者個人や関連企業、取引先などへ又貸しする資金は非対象となります。
融資を受けてすぐに貸付金が発生すると金融機関に疑われることになるので注意が必要です。

ⅲ) 借替資金

信用保証協会の保証付きの融資で金融機関が既存のプロパー融資(信用保証協会の保証付きでない融資)を借り手企業の意に反して返済させること(旧債振替)は禁止されています。
保証付きの既存融資を新たな保証付きの融資で借替えることは可能です。

また、日本政策金融公庫では、民間金融機関の融資を公庫の新たな融資で借替して返済させることは原則できません。
どうしても必要な場合は返済を受ける金融機関に事前に相談することをおすすめします。

⑥反社会的勢力である

日本政策金融公庫や信用保証協会に限らず、すべての金融機関では、反社会的勢力であると判明した場合は融資をしてくれません。
融資申込時に反社会的勢力でないことを必ず確認されます。

以上に述べたほかにも、個別の融資制度ごとに条件が付されている場合が多いので、対象となるかどうか確認が必要です。

また、日本政策金融公庫の融資には、信用保証協会の保証は付けられません。
ただし、日本政策金融公庫の融資と、信用保証協会の保証付きの民間金融機関の融資を同時に受けることは可能です。

公的機関であるがゆえに制約が生じるのはやむを得ないことです。
わからないことや不安なことがあれば金融機関などに個別に問い合わせるとよいでしょう。