融資の目的外使用をしたらどうなる?

~使いみちを守らないとペナルティの可能性も~

融資を受けたお金を何の目的で使うのか、つまり使いみちは大事です。
使途(しと)ともいいます。

お金に色はなく、融資を受けてしまえば自分のお金といっしょになる。
だから、何に使ってもいいだろうと考える方がいるかもしれません。

しかし、金融機関の見方は違います。
使途自由のフリーローンなどを除いて、融資審査のときに必ず使いみちを聞かれます。
もし後日、本来の使途とは別の目的に使ってしまったことが金融機関に発覚してしまった場合、ペナルティを受けることもあります。

1 事業資金の使途

事業資金の場合、使途は大きく2つに分かれます。
運転資金と設備資金です。

運転資金

事業を行っていくうえで必要になる資金のことです。
すべて現金売上でない限り、売掛金が入ってくるまで時間がかかります。
仕入資金、人件費や家賃など、先に支払いが必要になるケースが多いので、その間の資金繰りのために資金が必要になります。
それが運転資金なのです。

通常の運転資金のことを経常運転資金と言います。簡便な算出方法を示します。

経常運転資金=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)

設備資金

工場や店舗、機械、什器備品、自動車などを購入するための資金です。
通常は、金融機関に見積書を提出して予定設備の内容や金額を示します。

2 融資の目的外使用とは

本来とは異なる使途に融資金を流用するとはどのような場合をいうのかを例示すると次の通りです。

投資資金へ流用

借入金を株式投資など事業と無関係の目的に使ってしまうケースです。

社外流出させる

関連会社や代表者、役員などへ転貸するケースです。
決算書に「貸付金」や「仮払金」として計上されることにより判明することが多いです。

他の金融機関への返済資金に流用

金利が高いからといった理由で、他の金融機関の返済資金に当ててしまうケースです。
決算書で急に借入金がなくなったりするので比較的容易に判明します。

設備資金の運転資金への流用

本来は設備投資に充てるべき資金の全額または一部を運転資金として使ってしまうケースです。
当座の資金繰りの苦しさをしのぐため行ってしまうものです。

設備資金が予定より減額になった分を流用

余ったからといって、たとえ事業のためであっても本来の目的外で使用してはいけません。

3 融資の目的外使用に対する金融機関の対応

金融機関は、予定の使途通りに借入金を使わなかった場合には厳しい対応をとります
審査時にきちんと返済できるかを見極めているので、予定外に使ってしまうと返済できなくなる可能性が高まるからです。
運転資金を投資に流用してしまったらいざ必要になったときに資金が不足しかねません。
利益増加を見込んでいた設備投資を実際は行わなかったら返済財源が消えてしまいます。

融資の目的外使用をしてしまうとどのような影響があるのでしょうか。

一括返済を求められる可能性がある

まず、金融機関は、事業の維持や発展を見込んで融資します。
借入金を目的通りに使わないと一括返済を求められるケースがあります。
また、恩を仇で返す形になり、金融機関からの信用を失うことになりかねず、次回の融資に悪影響を及ぼす可能性があります。

新規融資の停止や金利引き上げなどの可能性がある

具体的なペナルティもあります。
信用保証協会は、その融資が完済するまで新規の保証をしてくれなくなります。
日本政策金融公庫は、一括返済や使わなかった分の一部繰上償還、金利引き上げなどを求めることがあります。

4 融資の目的外使用とされないために気をつけたいこと

最後に、金融機関と使途流用にかかるトラブルが起きないようにするための留意点は次の通りです。

虚偽の使途を伝えない

運転資金の枠がいっぱいだから設備資金名目で申し込むといったことは決してしてはいけません。
高い確率で判明し、信用を一気に失います。

やむを得ない事情変更は早めに相談

設備の減額など予定に変更があった場合はすみやかに金融機関に申出ましょう。
再審査になるなどして時間がかかることがあるにしても、ペナルティを科されることはなくなり安心できます。

使途通りに使った証拠をできるだけ残す

設備資金は決算書に載せたり、領収書や振込通知書などの証拠を残したりしておき、金融機関がいつでも確認できるようにしておきます。
運転資金は、預金の入出金や試算表、帳簿などで金融機関に証明できるようにしておけばよいでしょう。

金融機関にとっては、事業の発展や維持のためという目的を明らかにして融資をします。
だから、借主が融資金を別の使いみちに充ててしまったら、本来の目的が達成できません。
金融機関が期待していた資金効果も薄れてしまいます。
融資金を目的通りに使うことは自社のためであるということをしっかり認識する必要があります。