金融機関に融資を断られる理由

~申込む前に対策を立てよう~

金融機関に融資申込をしても断られてしまうことがあります。断られた理由をきちんと理解して、次回の再チャレンジに向けて改善に努めることが大事です。しかし、断られないよう、あらかじめ断られる理由をつぶしておくことができれば、融資してもらえる可能性が高まるかもしれません。

金融機関から融資を断られる理由を集約すると以下の通りになります。

お金にルーズである

収入と支出の管理をきちんとできていないことです。収入よりも支出が多い状態が続くと、諸支払ぶりが悪くなるという形で表面化します。

借入金の返済は正常なのに、税金や社会保険などを後回しにして滞納するケースが散見されます。延滞金が課されるうえに、程度がひどくなれば差押えられます。もし、不動産や預金などを差押えられたら、融資してくれる金融機関はまずありません。

金融機関の返済を約定通りにできていないことも融資に消極的になる理由となります。そもそも現時点で返済できていないのだから新規融資はできないという理屈です。融資申込をした金融機関の返済をきちんとしていても、他の金融機関の返済が正常でない場合も同様に見られてしまいます。 また、個人信用情報に延滞や事故などの記録があれば、マイナス方向へはたらくことになります。

返済力が弱い

金融機関は融資を約定通り回収することを重要視します。つまり、返済が難しそうな先に融資することはありません。

手許資金(起業資金の場合は自己資金)が過少だと、資金繰りに行き詰まる確率が高まるので、消極的な判断になる可能性があります。 既存借入金の返済負担が重いとか、高金利の借入金があるといった場合は、すでに資金繰りが厳しい状態です。お金が回っていない、現金の流れが悪いという状態が改善されると見込めない限り、返済力に問題ありとされ、断られてしまいます。

成業可能性、維持可能性が低い

融資の返済は数年にわたるケースがあり、融資先企業の経営状態の変化にかかわらず完済まで約定通り返済してもらう必要があります。そのためには企業や事業の維持力(起業資金の場合は成業の可能性)が十分に見込めることが重要です。

事業計画や設備投資計画、経営改善計画なども含めた今後の見通しは、夢物語であってはなりません。金融機関に実現可能性が高いと思ってもらえなければ、前向きな回答は得られないのです。計画やビジョンは客観的根拠が弱いと絵に描いた餅であると思われ、消極的な結論となってしまいます。

とくに今後の収支予測は確実性の高い未来予想図として描けていないと、先行きが不安だと判断されることになります。さらに、②で述べた返済力の有無の判断にもかかわってきます。

自分の事業、計画があいまい

金融機関の審査担当者との面談の際に、質問に対してきちんと答えられないことは致命傷になりかねません。そもそも経営者自身の事業や計画についてわからないことがあるはずがありません。何のために何をやりたいのか、それにはいくら融資が必要かをきちんと説明できないと、断られる方向に行ってしまいます。

金融機関は、資金の必要理由や必要金額を精査し、妥当性のある融資をしようと考えます。だから、申込金額が過大だとか、使途に見合わないといった場合も、今後の見通しや計画があいまいとマイナスに思われてしまいます。

強みがない、弱いと判断される場合も、難局を乗り越えられないかもしれないと融資が難しくなります。ふだんから経営者自身も含めた経験、知識、ノウハウ、スキルなどに裏付けられた自社の強みを生かす経営を心がける必要があります。

足かせが重荷になり先行きが厳しい

経営状態を苦しくしている要因による影響が大きいと判断されれば融資は難しくなります。不良債権や不良在庫が多いとか、貸付金や仮払金といった社外流出が多いといった要因です。

赤字や債務超過はもちろんよくありませんが、それだけをもって断られるとは限りません。一時的なもの、改善見込みがあると判断されれば融資してもらえることがあります。③で述べたように、今後改善できる見通しがあると客観的根拠をもって説明し納得してもらえるようにできればプラス方向に行きます。

融資を断られてからどうしようと考えるよりも、ふだんから経営の健全化に努めて融資を断られないようにするほうがよいでしょう。 自社のみで対応が難しければ、中小企業診断士などの専門家にサポートしてもらうことも効果的です。