中小企業経営者の負担を軽くする 番頭の役割6選
~経営者をサポートする、なくてはならない存在~
よく中小企業の経営者は孤独であると言われます。
右腕になってくれてサポートしてくれる存在がいれば、経営者としては心強いでしょう。
江戸時代以降の商家を舞台にしたドラマで必ずといっていいほど登場するのが「番頭」です。
使用人のトップとして、商売を仕切り、使用人を指示し、取引先と交渉し、たいへん重要な仕事を担っています。
では、「番頭」の役割とはどのようなものでしょうか?
①経営者の補佐役
組織がある程度大きくなると、経営者ひとりですべてを取り仕切ることは難しくなります。
そこで、経営者の右腕となり、その意思を実行にうつすために、補助的役割を忠実に果たします。
経営者の足りないところを補う面もあるでしょう。
二人三脚で経営に当たるのです。
②現場の実質的リーダー
組織が大きくなると、経営者がすべてにわたって指示を出し、管理することができなくなります。
そこで権限委譲が進み、部門ごとにリーダーを置くことになります。
いくつかできる実行部隊を取りまとめるのが「番頭」の役割です。
経営者は、いちいち細かい指示を出す必要がなく、大局的な指示のみ出せば済みます。
また、重要なことのみ報告を受け、基本的には「番頭」に任せるのです。
経営者は、本来の仕事である組織全体の経営に集中できるようになります。
③ご意見番
経営者も間違えることはあり得ます。
経営者が正しい判断ができるように意見具申する人物がいれば大いに助かります。
チェック役と言ってもよいでしょう。
イエスマンでは意味はありません。
経営者にとって耳が痛いようなこともあえて進言する必要があります。
直言や諫言は、結果的に経営者を正しい方向に導くはずです。
ただし、豊富な知識や経験にもとづいた意見でなくてはなりません。
ご意見番にもそれなりの能力が求められます。
④相談役
経営者といえどもあらゆる事柄について部下に気軽に相談できるとは限りません。
経営者の立場を理解し、現場の状況を熟知し、先行きを見通すこともできる人物に相談し、アドバイスを受けられれば心強いです。
経営者の意思決定の負担を軽減させる効果もあります。
ちなみに、相談役は、英訳すると「counselor(カウンセラー)」になります。
ときには経営者の愚痴を聞くなどして心理的なサポートもできれば、経営者にとって頼もしい存在になるのではないでしょうか。
⑤従業員との橋渡し
ひとつは、経営者の経営方針や組織の理念を従業員にわかりやすく伝えて浸透させる役割です。
経営者が直接説明しても従業員になかなか伝わらないケースが多々あります。
現場に詳しい立場だからこそ従業員に寄り添うことができるのです。
もうひとつは、従業員の意見や不満などを吸い上げて経営者に伝える役割です。
現場のリーダーのほうが話しやすい、わかってくれるだろうと思われるというメリットを生かせることでしょう。
さらに、従業員は、立場の違いから、なかなか経営者の思いを理解することが難しいのではないでしょうか。
間に入って仲立ちをし、調整することができる存在でもあります。
⑥後継者の教育
事業承継にあたり、後継者の教育を分担します。
経営そのものについては原則経営者の役割ですが、現場のことを後継者に学ばせる役目を担うのです。
また、承継後すぐに後継者が独り立ちできるとは限りません。
本来の補佐のかたわら、経営者のあり方や行動についても助言すれば後継者の成長を促すことにつながります。
「番頭」は、組織経営の重要な部分を任せるのなので、経営者が信頼できる人物であることが必要条件といえます。
幅広い知見や高い能力をもっていることが前提です。
昔のように丁稚から育てるとか、あるいは外部から優秀な人材をスカウトとするとか考えられますが、いずれも容易とは言えません。
経営者側の高い人材育成能力が必要です。
また、優秀な人材を招聘することは人材確保が困難な昨今の情勢にあっては現実的ではないかもしれません。
そこで、社外の人材を「番頭」にすることを検討してみてはいかがでしょうか。
たとえば、中小企業診断士はその役割を十分に果たせます。
顧問としてでも役員としてでもアドバイザーとしてでも肩書は何でもよいでしょう。
経営者のよき理解者であり、経営をよくわかっている立場であり、「番頭」を雇うよりもコストが低くなる可能性が高いです。
社外の「番頭」として、力を発揮してもらえる頼もしいパートナーとして期待がもてるのです。