お金と上手に付き合えるようになる 金融リテラシー

~お金について正しく理解しきちんと判断できる能力をもつ~

「お金」に関する不安を抱えている方々は少なくないでしょう。
一方で日本人は日本人は「お金」の話をすることを嫌う傾向があります。
がめつい、ケチ、守銭奴などマイナスイメージがつきまといます。
「武士は食わねど高楊枝」は美徳とまでされています。

しかし、先立つものがなければ何かと困るのも事実です。
「宵越しの銭は持たぬ」ことは決して「粋」ではありません。
やはり生きていくうえで必要な「お金」を確保することは、避けられないのです。

生活のためにはお金を上手に管理し、注意深く使う必要があります。
将来の生活に備えて、保険加入や、貯蓄や投資などの資産運用が必要になります。
また、悪徳商法や詐欺などの被害に遭わないようにしなければなりません。

政府は、国民一人ひとりが自立して安定した生活を送ることができるよう、「金融リテラシー」を身につけることを推奨しています。
「金融リテラシー」とは、「お金」について十分な知識と、「お金」とのつき合い方について適切に判断する力をもつことを意味する言葉です。

1 金融リテラシー

金融庁は、金融知識に加え、最低限身につけておきたい「金融リテラシー」として、4分野にわたる15項目を挙げています。

(1) 家計管理

①適切な収支管理(赤字解消・黒字確保)を習慣にすること

日々家計簿をつける習慣を身につけるのがもっともよいでしょう。
最近ではさまざまな家計簿アプリもあるので、自分に合った方法で管理できればよいのです。
でも時間がない、面倒だという方は、不要不急の支出がないか見直すことから始めてもよいでしょう。
預金通帳の残高が減らないように支出を抑えることができれば十分です。

(2) 生活設計

②ライフプランを明確にすることと、ライフプランを踏まえた資金の確保の必要性を理解すること

住宅を購入するのか、子どもがいれば教育費はいくらかかる見込みか、老後は年金がいくらくらい見込め生活費は足りるか。
ざっくりでよいので、そうした計画を立ててみて、資金が不足する時期がないか、借入金や貯蓄等で補填できるか。
早めに検討し、資金を確保する方法を固めておくことが肝要です。
ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に試算してもらうと安心です。

(3) 金融と経済の基礎知識と、金融商品を選ぶスキル

【金融取引の基本としての素養】

③契約をするとき、契約の基本的な姿勢(契約書をよく読む、相手方や日付・金額・支払い条件などが明記されているか、不明点があれば確認するなど)を習慣にすること

④情報の入手先や契約の相手方である業者が信頼できるかどうかを必ず確認すること

⑤インターネット取引の利点と注意点を理解すること

業者に言われるままでなく、内容をしっかり理解し納得したうえで契約できる知識を身につけることです。
本を読むなりセミナーを受講するなりしてコツコツと勉強することをおすすめします。

【金融分野共通】

⑥金融と経済の基礎知識(単利・複利などの金利、インフレ、デフレ、為替、リスク・リターンなど)や金融経済情勢に応じた金融商品の選択について理解すること

⑦取引の実質的なコスト(価格、手数料)を必ず確認すること

金融商品は絶対に儲かるとは限りません。仕組みをよく理解し、納得できてはじめて投資することを心がける必要があります。
やはりふだんからの勉強が効果的です。

【保険商品】

⑧自分にとって保険でカバーしたい事態(死亡、病気、火災など)が何かを考えること

⑨カバーすべき事態が起きたとき、必要になる金額を考えること

保険は、具体的なリスクを想定し、健康保険や社会保険などの公的支援や手元資金でカバーできない金額を把握する必要があります。
保険の業者の言いなりにならず、保険料負担とのバランスも考えましょう。

【ローン・クレジット】

⑩住宅ローンを組む際の留意点を理解すること
ア.無理のない借入限度額の設定、返済計画を立てること
イ.返済を難しくさせる事態に備えること

⑪無計画・無謀なカードローンやクレジットカードなどの利用を行わないことを習慣にすること

安易な借入は厳に慎み、借入が必要な場合はきちんと返済財源を考慮して返済計画を立てる習慣を身につけることが大事です。

【資産形成商品】

⑫高いリターンを得ようとする場合には、より高いリスクを伴うことを理解すること

⑬資産形成における分散(運用資産の分散、投資時期の分散)の効果を理解すること

⑭資産形成における長期運用の効果を理解すること

金融商品にかかる知識を身につけ、自分が理解できない商品には手を出さない姿勢をもちましょう。
ここでもふだんからの勉強が有効です。

(4) 外部の知見の適切な活用

⑮金融商品を利用するにあたり、外部の知見を適切に利用する必要性を理解すること

自分で勉強するといっても限界があります。
第三者的立場からアドバイスができるファイナンシャル・プランナーなどの専門家のサポートを受けることができれば安心です。

2 金融経済教育

「金融リテラシー」を身につけるためには「金融経済教育」が必要とされています。
若年者から高齢者まで一律な教育は効果的ではないので、金融庁は、「金融リテラシー・マップ」を策定しました。
「最低限身につけるべき金融リテラシー」を、年齢層別に、体系的かつ具体的に記したものです。
金融経済教育を行う側のための指針のようなものですが、自分の年代はどのようなことを身につければよいのか大いに参考になります。

3 「知るポルト」

また、金融広報中央委員会のウェブサイト「知るぽると」では、「金融リテラシー」の習得に役立つさまざまな情報を提供しています。
家計管理や生活設計に役立つコンテンツもあります。
「生活設計診断」では、現在の家計収支や貯蓄、借入れなどをもとに、将来の暮らし向きが簡単に診断できます。
「資金プランシミュレーション」では、住宅ローンの返済計画や預貯金の積立予測などができます。

ご自身だけでは不安がある場合などは、ファイナンシャル・プランナーをはじめとする専門家への相談がおすすめです。
生活基盤をしっかり固め、人生を楽しく過ごせるようになる方々が増えることを期待したいものです。