不動産広告・チラシの見方を知る

~ルールを理解して物件選びに活用する~

住宅やアパートなどを借りたり買ったりするとき、不動産の広告やチラシを見る機会があります。
不動産業者は何とか契約してもらいたいので、できる限り魅力的に映るように工夫します。しかし、現地を見てみたら広告とイメージが違ったなどとトラブルになってはいけないので、法的規制や業界ルールがあります。
それらは、「宅地建物取引業法」および不動産業界の自主的ルールの「不動産の表示に関する公正競争規約」に定められています。主なものを以下に解説します。

新築

新築とは、建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがない物件でなければなりません。

利便施設

学校、病院等の公共施設やスーパーマーケット等の商業施設について、現に利用できるものは物件までの道路距離または徒歩所要時間を明示する必要があります。工事中等で将来確実に利用できると認められるものは整備予定時期を明示しなければなりません。

徒歩時間

道路距離80mにつき1分として示します。1分未満の端数は1分に切り上げます。たとえば、徒歩5分と示されている場合、距離は320m超400m以下となります。

交通の利便性

電車、バス等の公共交通機関の所要時間は、朝の通勤ラッシュ時のものを表示します。平常時の所要時間を併記できます。乗換が必要な場合はその旨を表示し乗換に要するおおよその時間を含めなければなりません。なお、信号待ちや歩道橋の昇り降りなどの所要時間は含まれていません。

所在地

物件の所在地は、都道府県(県庁所在地、政令指定都市、特別区は省略可)、郡、市区町村、字および地番を表示します。売地や中古住宅などでは地番を表示しなくてもよいとされています。なお、地番は登記上のものであるため住居表示と異なるケースもあります。

完成前の建物

未完成建物の場合は建築確認番号を表示しなければなりません。完成した新築住宅の場合は建築確認番号を省略できます。

取引態様

不動産業者の宅地建物取引業者としての立場を示します。媒介、代理、売主などがあります。媒介の場合は取引にかかる報酬を支払う必要があります。

価格

土地・建物は、1区画もしくは1戸当たりの価格を表示しなければなりません。敷地には上下水道施設・都市ガス供給施設の設置費用等、建物には消費税を含みます。

古屋や廃屋等がある場合

土地上に古屋や廃屋等がある場合はその旨を表示する必要があります。

セットバック

建築基準法により前面道路の幅員が4m未満の場合、道路の中心線から2m後退させて建物を建築しなければなりません。この後退させる部分をセットバックといいます。セットバックが必要な土地は、その旨を表示しなければなりません。セットバックを要する部分の面積が土地全体のおおむね10%以上ならその面積も表示しなければなりません。

新設予定の駅等

運行主体が公表した場合に限り、新設予定時期を明示して表示できます。

居室等の広さ

畳数で表示する場合、1畳は1.62㎡以上の広さが必要です。

ダイニング・キッチン(DK)、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)

居室数が1部屋の場合は、DKは4.5畳、LDKは8畳、2部屋以上の場合は、DKは6畳、LDKは10畳が目安とされています。なお、居住に適さない部屋は納戸等と表示されます。

マンション

管理費と修繕積立金については区別し、それぞれ1戸あたりの月額を表示する必要があります。

建築年月

中古住宅の場合は建築年月を明示しなければなりません。

新発売

新たに造成された宅地または新築の住宅について、一般消費者に対して初めて購入申込の勧誘を行う場合に使用できます。

リフォーム・改築

建物をリフォームまたは改築している場合、その旨を表示するかどうかは任意です。表示する場合は、その時期と内容を表示しなければなりません。

決められたルールを理解して広告・チラシの見方を知っておけば、希望に合った物件を探す際に役立つことでしょう。
また、必ず現地を見て内部や周辺環境を自分の目で確認することをおすすめします。