ひとり親世帯と国の教育ローン
~国の融資制度なので優遇措置がある~
厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」に平均年間収入(母又は父自身の収入)のデータがあります。
母子世帯数は 272 万円、父子世帯数は518 万円です。
厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」厚生労働省によると、ひとり親の相対的貧困率は48.1%です。
OECD平均32.5%をかなり上回っています。
また、日本政策金融公庫「「教育費負担の実態調査結果」のデータです。
高校入学から大学卒業までにかける子供1人当たりの教育費用(入学・在学費用)は942.5 万円です。
世帯年収に占める年間在学費用(子供全員にかける費用の合計)の割合は、平均で14.9%です。
いかに教育費の負担が重いかがわかります。
日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、ひとり親家庭の強い味方です。
利率が低くかつ固定、長期返済といったメリットがあります。
さらに、母子家庭または父子家庭には優遇措置があるのです。
通常より利率が0.4%低減されます。
また、教育資金融資保証基金(連帯保証人に代わってご融資の保証をする機関)の保証料も通常の2分の1になります。
「国の教育ローン」も融資なので、収入が低いと借りられないのではないかと不安に思う方が少なくないかもしれません。
しかし、心配ご無用です。
もともと比較的収入が低い方向けの融資制度なのです。
年収の上限額を超えると申込むことができません。
しかも、先に触れたとおり、ひとり親世帯に優しいのです。
もちろん審査があるのでだれでも無条件で借りられるわけではありません。
ではどのような点が審査のポイントになるのかを見ていきましょう。
①収入と支出のバランスがとれており、正常返済が見込める
給与、児童手当などの給付金、遺族年金、養育費などで、定期的に入ってくるものを収入と見ます。
支出は、生活費、家賃や公共料金等の支払い、ローン返済などです。
収入から支出を差し引いた金額が返済財源となります。
マイナスであれば返済が厳しいと判断されます。
②諸支払ぶりが良好であること
住宅ローンまたは家賃と、2種類の公共料金について、直近半年分の支払い状況がわかる資料の提出が求められます。
もし遅れたり支払っていなかったりしていると、資金繰りがうまくいっていないと推測されます。
期日通りに返済が難しいという判断につながるのです。
収支状況が黒字でも、ルーズなためにきちんとできていない場合も、厳しい見方をされてしまいます。
③既存の借入金と合わせても返済能力の範囲内にあること
住宅ローンの残高が多くあるからといって必ずしも借入金が多すぎるとされるわけではありません。
収入に見合った借入残高と返済額であるか、つまり今後も約定通りに返済する力があるかどうかがポイントになります。
カードローンは、枠いっぱいまで借りているようであれば、それ以上借入が難しいのではないかとマイナス方向にはたらきます。
なお、個人信用情報を照会するので、きちんと支払っているかどうかも含めて見られます。
決して嘘をついたり隠したりしてはいけません。
④借主が返済できると判断されることが前提
学生支援機構の奨学金と違って、学生本人ではなく保護者が借主となります。
学生である子が卒業して就職したら返済させるという方が散見されますが、それはそれでさしつかえありません。
子から保護者の銀行口座に入金してもらい保護者が返済する形をとることになります。
あくまでも借主は保護者なので、保護者の信用状態により融資の可否が決まります。
親に問題があっても子が就職したら返済できるのだから文句ないだろうという理屈は通用しません。
ひとり親であっても、収入が少なくても、「国の教育ローン」は広く門戸を開けています。
未来を担う子のために活用することをおすすめします。
なお、推薦入学が決まる時期や受験期などの繁忙期には混みあうので、必要時期の2~3カ月前の申込をすすめています。
どこの学校に行くか決める前でも、また合格前でも申込はできます。
まずは申込んで早めに審査結果を出してもらい、合格したらすぐに借りる。余裕をもった準備をすすめてください。