従業員との個人面談を効果的にする7つのポイント
~従業員に寄り添って成長を促す~
中小企業の悩みとして、人手不足や従業員育成、従業員とのコミュニケーション不足など、従業員に関するものが上位を占めます。従業員は企業が活動していくうえでなくてはならない存在です。従業員を戦力化し定着化を図るためには、個々の従業員へのふだんからのきめ細かな対応が必須です。
それには経営者(職場のリーダーが代行する場合はその者も含む)と一人ひとりの従業員との個人面談がプラスにはたらきます。
①個人面談で見込める効果
㋐組織全体と従業員個人との目標の共有
従業員には組織の一員として業績向上などに貢献してもらわなければなりません。そのためには同じ目標に向かって仕事をすることが大事です。しかも、個人目標は従業員自身が立てて実行しているという自覚をもたせる必要があります。個人面談は従業員の意見や要望も聞きながら調整を図り目線合わせができる機会となります。
㋑従業員の動機付け
一人ひとりの従業員が自分の努力や成果が組織全体の業績に貢献すると理解することは、従業員のモチベーション向上につながります。
㋒業務改善のきっかけ
従業員の意見や不満、要望は業務を改善させるヒントになることがあります。
②個人面談の留意点
㋐目的を明確にする
面談は漫然と行うのではなく、何のために行うのかをはっきりさせ、従業員にも伝えることが大切です。人事評価、キャリアアップのためのアドバイス、業務改善に向けた意見聴取といった目的です。
㋑事前準備をする
面談の場所や時間などを事前に決めたほうがよいです。従業員に周知しておけば従業員自身もあらかじめ考えを整理しておくことができます。時間は30分程度だと一般的に過不足ないと思われますが、状況に応じて臨機応変に対応すれば問題ないでしょう。
また、あらかじめ従業員の業績や評価などを把握したり、目的に応じた質問を用意したりしておきます。
㋒聞き上手になる
どうしても面談を開催する側が主導権を握るので、つい一方的な指導や物言いをしがちなので注意しましょう。聞き役に徹することが基本です。
まずは従業員の話をよく聞き、適切なアドバイスを提供するよう意識しましょう。従業員が話しやすい雰囲気をつくることも大事です。
「何かないか?」「最近どう?」というあいまいな聞き方でなく、具体的な話題についてどう思うかなどと質問すると答えやすくなります。従業員の意見や不満、要望をうまく引き出す努力が必要になります。
また、間違ったことを言っていたとしても、途中で話を遮ったり反論したりせず最後まで傾聴することが必須です。言っていることがとりとめないものだとしても、ガス抜きになるのならそれでも十分です。言い分を聞いてもらったと思わせることが信頼関係の構築につながるのです。
㋓フィードバックを提供する
人事評価や人材育成を目的とする場合は、従業員の業績や評価について、具体的なフィードバックを提供します。また、従業員の強みや改善点などについても、適切なアドバイスを提供しましょう。
ほめるところはその従業員の実際に行動したことの具体的な事例を通して伝えると効果的です。欠点や弱点を指摘するだけのダメ出しよりは、改善意見を提案するほうが望ましいです。無理強いせずに、できればヒントを与えることで従業員自身に考えさせ実行させるようにすれば、より高い成長が望めるでしょう。
いずれのケースでも、その従業員のはたらきに期待しているとう趣旨を伝えることでモチベーションの向上にも結び付くでしょう。
㋔プライバシーに配慮する
面談はプライバシーを保てる空間で行うことが必須です。また、内容によっては、ここだけの話にすると約束しましょう。どうしても上位者などに伝えなければならない場合は、了解を取っておく必要があります。
ケースにより、ほかの従業員などとの人間関係や健康面、家族の事情などにも触れなければならないことがあります。聴き手には守秘義務があることを忘れてはいけません。
㋕経営者自身がやるべきことをやる
経営者(職場のリーダーが代行する場合はその者も含む)は、コーチングなどを勉強してスキルを身につけるとよいでしょう。
また、ふだんから風通しの良い職場環境づくりを心がけ、言いたいことが言える雰囲気を醸成しておくことも効果的です。
さらに、問題を抱えていそうな従業員がいるときは声をかけて話を聞いてみる姿勢をもっていると、より迅速な解決につながります。
なお、可能であれば面談の要旨を記録しておくことをおすすめします。もちろんその記録の情報管理には十分注意が必要です。
㋖フォローアップを行う
面談が終わったらそれでおしまいではありません。後日の従業員へのフォローアップも重要です。面談後には機会を見て、従業員の行動や業績、アドバイスの効果などを確認しましょう。従業員が成長できるよう継続的にフォローしていくことが経営者の務めといえます。
従業員は企業の宝です。生かすも殺すも経営者次第ということを肝に銘じておきましょう。