経営指標が読めれば経営状況がみるみるわかる
~自社の経営の立ち位置を把握できる~
自社の決算書を見て、利益がプラスかマイナスかくらいはわかるけれども、いろいろな数字が結局何を言いたいのかよくわからない。
そのような経営者の方が多いのではないでしょうか。
そこで、決算書の数字をもとに「経営指標」を計算してみましょう。
すると、自社の経営状況が見えてきます。
顧問税理士からさまざまな数値が示された一覧表を定期的にもらっている経営者もおられるでしょう。
流動比率や売上高総利益率、総資本回転率といった数値です。
グラフ化したものを提供してくれる税理士もいます。
せっかくの情報なので活用しないのはもったいないと言えます。
経営指標を理解し活用できるか否かが経営を左右すると言っても過言ではないのです。
1 経営指標の種類
経営指標は、分析する目的によって分類されます。
①収益性分析
企業がどれくらい利益を上げているかを見ます。
いくつか例を挙げましょう。
○売上高総利益率(売上総利益÷売上高×100)
商品・サービスそのものがどれだけの利益を生むのかを示します。
つまり商品・サービスの競争力を表します。
○総資本利益率(利益÷総資本×100)
経営資源をいかに効率よく使って利益を上げているかを表わします。
総資本利益率は売上高利益率(利益÷売上高×100)×総資本回転率(売上高÷総資本)に分解されます。
収益性と効率性を同時に表していることがわかります。
②安全性分析
企業にどれくらい支払能力があるのかを見ます。資金繰りや倒産リスクも予測できます。
いくつか例を挙げましょう。
○流動比率(流動資産÷流動負債×100)
プラスなら1年以内に支払不能になるリスクが低いことを表します。
○自己資本比率(自己資本÷総資本×100)
高いほど負債が少ないことになり財務基盤が固いと言えます。
③効率性分析(活動性分析)
企業がその資産をいかに効率的に使って売上高や利益を生んでいるかを表します。
次のようなものがあります。
○総資本回転率(売上高÷総資本)
高いほど効率よく売上を上げていることになります。
○棚卸資産回転率(売上高÷棚卸資産)
高いほど商品の回転がよい、つまり売れ行きがよいことになります。
④生産性分析
企業の経営資源からどれくらい付加価値を生み出したかを見ます。
例を一つ示します。
○労働生産性(付加価値額÷従業員数×100)
従業員数1人あたりの付加価値であり、高いほど投入された労働力がより多くの付加価値を生んでいることを表します。
⑤成長性分析
○売上高増加率((当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100)
○利益増加率((当期利益-前期利益)÷前期利益×100)
いずれも時系列で企業がいかに成長しているかを見ます。
2 経営指標の具体的活用方法
経営指標の活用方法をいくつか挙げましょう。
①自社の過去の決算書数年分を比較する
時系列で分析してよくなっているか悪くなっているかを見ることができます。
②同規模の同業他社と比較する
もし数値を入手できれば比べてみて、自社の優れているところや劣っているところがわかります。
③同業種の平均値を示したベンチマークと比較する
たとえば、日本政策金融公庫のホームページに掲載されている「小企業の経営指標調査」があります。
業種別および従業員規模別に知ることができます。
自社の強みになっている点、改善が必要な点がわかるのです。
経営指標を用いた具体的な経営分析を実施し、それを踏まえて今後どうしていくかについて検討することは重要です。
とはいえ自社だけではなかなか難しいでしょう。
顧問税理士や商工会議所・商工会の経営指導員、中小企業診断士などの専門家に相談することをおすすめします。