成功率を高める融資・補助金の計画書作成法

~読む人を意識することが重要~

企業を経営していくなかで、さまざまな計画書を作成する機会があります。
事業計画書、経営計画書、経営改善計画書、創業計画書などです。

計画書は、必要に迫られて作成することが多いのではないでしょうか。
金融機関への融資申込やリスケの申出、補助金等の申請などの機会に提出を求められます。
でも自分にはうまく書けないのではないかとか、どのような書き方をすれば通りやすいのだろうかとか悩む方が多いことでしょう。

計画書の具体的な作成方法については数多くの書籍やウエブサイトなどがあります。
ここでは作成にあたって留意すべき点を解説します。


まず、計画書作成には、融資や補助金の要望を受け入れてもらうための説明資料という本来の目的以外にも見込める効果があります。

経営者にとって頭の整理になる

漠然と考えていたこと、悩んだり迷ったりしていたことが、言葉として書くことで整理されます。
事業を行っていくための指針やビジョンにもなります。

ステークホルダーに対して経営や事業の方針を説明しやすくなる

取引先や従業員などに示すことで理解を得やすくなり、協力してもらったりいっしょに行動したりすることが容易になります。

次に、計画書を作成するときの注意点は以下の通りです。

自分の言葉で表現する

文章の上手下手ではなく、経営者自身の思いや熱意がダイレクトに伝わるように心がけます。

わかりやすい文章にする

難しい文章では理解してもらえなかったり誤解されたりします。
中学生でもわかるような文章を意識すると多くの人に理解してもらいやすくなります。

正確性を保つ

誤字脱字や抜け漏れはもちろんあってはなりませんが、内容に誤りや錯誤、齟齬などがあると信頼性を下げてしまいます。

数値で示す

たとえば、利益が「大幅に増える」と言うよりも、「2倍になる」と言ったほうがイメージしやすくなり納得感が高まります。

絞り込む、優先順位をつける

あれもこれもやりますでは本当に計画通りに進められるのか疑問をもたれます。
項目を絞り込んだり、優先度に差を付けたりして無理がない計画にします。

実現可能性をもたせる

どんなにすばらしい内容でも、絵に書いた餅では信頼してもらえません。
現実性のある未来予想図を描くことで納得してもらえるようにします。

根拠を示す

独りよがりでもいけません。客観的な根拠を示すことで信頼性が高まります。

相手のニーズにこたえる

たとえば、経営改善計画なら金融機関の判断に役立つように書きます。
ヒアリングや他の資料だけでは不足する点を補い、改善を確信してもらえる内容にします。

リスクや障害を想定する

計画の実行を阻害する要因を可能な限り予測し、その対策を練り込むとなおよいでしょう。

実際に計画書を作成するプロセスは次の通りになります。

現状分析する

まずは現状を把握し、社内外の問題点を明らかにします。
そして理想の姿とのギャップを埋めるための課題を模索します。

現実的な方策を構築する

①にもとづいて目標をたてます。
目標達成に向けてどのようなアクションをおこすのかを決めます。
5W1H(When:いつ、Where:どこで、Who:誰が、What:何を、Why:なぜ、How:どのように)を意識すると現実性が高まるでしょう。

見込める効果を示す

②のアクションによって未来の姿がどのようになるのかを予測します。
具体的な数値で客観的に示し、実現可能性が高いものにすることが、理解や信頼を得られるポイントになります。

計画書を作成した後は実行に移します。実行の過程では、計画通りにできているか、目標は達成できそうかを、きちんと管理していかなければなりません。
PDCAサイクル(Plan:計画→ Do:実行→ Check:確認→ Act:改善)などを取り入れて確実に計画を実行していくことが大事なのです。

実際には、中小企業診断士などの専門家に依頼することが多いでしょう。
そういう場合でも、経営者は決して人任せにしてはいけません。
自分の考えを計画書にしっかりと反映できるよう、専門家と二人三脚で取組むことをおすすめします。
スキルをもった専門家には知識やノウハウなどの力を借りるだけです。
あくまでも経営者自身が作成するという意識を忘れずに、自社にとって最善の結果につながる計画書にしなければ意味がないのです。