夫婦のお金の管理は任せきりにするな
~自分の信用は自分で守る~
働くことなどで得られる「収入」と、食費や住居費や税金などの「支出」のバランスを保つことは重要です。
社会人であればだれでも避けて通れないものです。
独身者ならお金の管理は自分でしなければなりませんが、配偶者がいる場合、すべて相手に任せているケースが少なくないようです。
実際、融資審査時に話をする際に、「お金のことは妻に任せているので妻に聞いてください」という方が結構いました。
返済が遅れている回数が多いことを指摘したときに、「妻に任せていたので知らなかった」という方もなかにはいました。
「計数観念」という言葉をご存じでしょうか?
お金や収支の数字についてきちんと説明できるか、期日通りに遅れずに返済する意識があるか、といったことです。
金融機関が融資先に対して重要視するファクターの一つです。
残念ながら、老若男女を問わず、計数観念が弱い方が一定数います。
計数観念が弱い妻に家計のすべてを任せている夫を例にして、重症度が高まっていくさまを説明しましょう。
<0期>
収入が支出を上回っている状態ならば、ずさんな家計管理をしていても問題は表面化しません。
<Ⅰ期>
支出が収入を上回っている場合でも、資金繰りをして何とかしのいでいくことができる段階です。
どこかから借入をするとか、公共料金や税金等の支払い、借入金の返済などを遅らせることでやりくりします。
しかし、金融機関などからの信用が徐々に失われていきます。
<Ⅱ期>
借入金が増大してしまった段階です。
借入枠の上限に達したり、金融機関からの信用状態が悪化したりして、もはや新たに借入をすることが難しくなります。
既存借入の返済もおぼつかないとか、料金が支払えずに電話を止められるといったことも起こりえます。
高利貸業者などから借入するとますます泥沼から抜け出せなくなってしまいます。
浪費癖の配偶者から勝手にカードを作られて借入をされてしまったという悲惨な例もあります。
<Ⅲ期>
金融機関などへの返済が滞ると個人信用情報機関に事故情報として登録されます。
いわゆるブラックリストに載る状態になり、どこからも借入ができなくなります。
金融機関や官公庁などから厳しい督促や取り立てを受けたり、自宅や預金などを差押えられたりすることもあります。
<Ⅳ期>
いよいよ首が回らなくなって破産に至ります。
借入金は棒引きとなりますが、自宅を競売で手放すことを余儀なくされたり、信用状態が完全に失われたりしてしまいます。
しばらくは金融機関などからの借入が困難になるといったペナルティを受けます。
すべてを任せていた妻の失態はすべて自分が被ることになります。
そうしたことが原因で離婚するケースが少なくありません。
離婚後も信用状態が回復できず苦労する可能性もあります。
それでも「妻に任せていて知らなかった」で済ませますか?
最悪の事態に至っても受け入れられますか?
お金の管理は人任せにせず、自分でもきちんと把握することをおすすめします。
決して配偶者を信用しないということではありません。
責任のある社会人として当然の責務だという認識をもつことが、結果として自分を守ることになるからです。